千住博(せんじゅひろし)
日本画家
画家として世に出ることと世に出て行けないことの違いは何だろうか、と。
それは才能の違いではありません。
思うに、世に出るとは世に出るまで絵を描き続けた人であり、
世に出なかった人とは世に出る前に絵を描くことをやめてしまった人なんです。
画家になることを目指す人は世に迎えられるまで、
自分の仕事を信じて続けることです。
世に出るとは打たれても打たれても舞台に立ち続けること
厳しい批評にさらされても描くことを放棄せず
じっと耐えてまた絵に向かい合う。
人はあまりに打たれ続けると、打たれることが辛くなってしまい
ほめてくれる人を探すようになります。
そうして、自分で小さな舞台を作り
自分を理解してくれる少数の人の前だけで作品を発表するようになる
でもそれは、本当の芸術行為ではない
本当の芸術とは
わかってくれない人たちを美の力で引き寄せる
あるいは説得することです
つまり、わかりあえない人とわかりあうための手段が芸術なんです
芸術派コミュニケーションであり
人を共感させる営為なんです
彼らは画家にならなかった
そして、僕は画家になった
その違いは何なのか、
それは僕の場合は絵がなければ生きていけないと悟ったからです
そして、彼らは絵がなくてもいけていけると思った
その違いです。

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